先日、福岡で開催された「第30回日本緩和医療学会学術集会」にて、私たちの取り組みを発表してきました。演題は、
「訪問看護師がACPを実践し、話し合った内容を実現することが、家族の後悔にどのように関連しているかについて」
です。
在宅で療養される方やご家族にとって、人生の最終段階をどう迎えるかはとても大切なテーマです。私たち訪問看護師は、日々のケアの中で、「どんな最期を迎えたいか」という希望を丁寧に聴く機会に恵まれています。しかし、ただ「話し合った」ということだけで満足してしまってはいけない。その希望をどう実現できたかが、残されたご家族の「後悔」に大きく関わることを、今回の研究であらためて実感しました。
調査では、療養者の希望が実現されたご家族の方が、看取りに対して「後悔していない」と答える割合が有意に高く、ACPは“話し合い”だけでなく、“実現”まで伴走することが大切であることがわかりました。
また、近年では「ACP+G」という考え方も広まっています。これは、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)を通じて、亡くなった後のグリーフ(悲嘆)ケアにもつなげていこうという取り組みです。希望が叶えられた、やりきった、納得できた——そんな思いがあるかないかで、遺族の癒しのプロセスは大きく変わると感じています。
このような視点を、全国の先生方と共有できたことに深く感謝するとともに、日々の訪問看護の現場に持ち帰って、より丁寧なACPの実践につなげていきたいと思います。
今後も「その人らしい最期」を支えるために、そして「残された人が安心して前を向けるように」、訪問看護師としてできることを模索し続けます。
おまけ